事務所を解約した時に残りの繰延資産を全額経費で処理する。
事務所を賃貸する時に礼金を支払う場合、税務上は繰延資産扱いになる。一般的に「長期前払費用(資産)」として計上し、5年間で償却していく。20万円未満の金額の場合は、一括で経費にすることも可能だ。繰延資産として償却する場合は、別表を添付しよう。
事務所を解約したときは、残っている長期前払費用は以下の通達により全額経費として処理することになる。
(繰延資産の支出の対象となった資産が滅失した場合等の未償却残額の損金算入)
8-3-6 繰延資産とされた費用の支出の対象となった固定資産又は契約について滅失又は解約等があった場合には、その滅失又は解約等があった日の属する事業年度において当該繰延資産の未償却残額を損金の額に算入する。(昭55年直法2-8「三十」により改正)
第3節 償却費の計算|国税庁
ところで、礼金が20万円未満であったとしても、赤字会社の場合は一度に経費にしないほうがいい場合もある。赤字の繰り越しは、中小企業であれば最長10年に延長されているが過去に大きな赤字があれば赤字を使いきれずに期限切れになることもある。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm
もし、赤字を翌年以降の利益で相殺できない場合切り捨てになるので、20万円未満の礼金を繰延資産として計上していれば、期限をきにせず好きな時に経費にすることが可能だ。もちろん、いったん繰延資産計上すると償却期間は5年になるので早めに経費にしたい場合は注意が必要だ。